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131期オープニングセミナー講義まとめ

131期1dayセミナー講義まとめ

第1講「イギリス国民投票結果の意味と『アベノミクスの宴』の後」

増田正人さん
市場と国家、国家独占資本主義、ケインズ政策
 【自由競争段階】生産と消費の不一致。恐慌による価格低下によってその不均衡が是正される
→【国家独占資本主義】独占の形成(資本間の支配従属関係の形成)。増加した生産量に対して、国家が介入して財政政策・金融政策により需給を均衡させるケインズ主義の登場
→【新自由主義】新自由主義によるケインズ主義批判。財政赤字の累積的拡大、政治家・官僚、「公」を批判。市場万能論or市場まだマシ論を主張

ユーロペシミズムとEC改革、EUへの発展とイギリスの関係、国民投票結果とEUの対応
◆(1967)EC成立(関税同盟の完成)
◆(1970年代)低成長時代。福祉国家のもと自国優先策
Ex.フランスの不況でフランスはケインズ政策をとる。公共事業を行う際競争入札を行うが、ドイツ企業の競争力が強くドイツ企業ばかり受注。
→公共事業を行う税金はフランス人が負担しているのに、実際利益を得るのはドイツ企業とドイツの労働者ばかりか、という批判
→フランスは「フランスに本社がある」「フランスに雇用がある」などの条件に合致した企業でなければ入札できないという自国優先のルールを策定。
「せっかくヨーロッパに関税同盟をつくったのに、各国ごとに分断された政府に戻ってしまった」との批判

◆(1987)単一欧州議定書・・・ケインズ主義政策を変更。競争政策の導入による経済成長をめざす政策へ大転換。
EC法が優位に立ち、各国法(各国憲法までも)が下位となる。→EC加盟国国民は立法権を事実上否定される。
EC閣僚理事会が全権を掌握。

◆(1992)単一欧州の形成
ユーロの導入計画のもと、財政改革の強制
Ex.財政赤字の削減、為替相場固定
→欧州福祉国家の解体
→切り捨てられ、生活が苦しくなる人々。反EU意識の拡大
→イギリス国民投票へ。離脱という結果に。

アベノミクスとその行き詰まり、グローバル経済の現状
「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」
→一時的な効果とその行き詰まり。拡大する財政赤字、日銀の財務の悪化、ゆがんだ市場

国家とその経済政策、経済運営をめぐる闘いの意義
【景気が回復しない理由は何か?】
国内外における経済格差の拡大 → 生産と消費の不均衡
実体経済(消費財や投資財の生産・分配にかかわる部分)は低成長なのに、金融では収益を得られるという期待が大きい
→バブル経済推進政策

★人口減により、労働者が再生産されえない。→ 資本主義の存続危機
★生産と消費の均衡をどのような国家は政策で実現するのか?




第2講「底抜けが拡大する労働市場:労働者と労働運動は何をすべきなのか」

後藤道夫さん
参院選の分析
(1)アベノミクスの評価が自民支持に。しかし、2013年よりアベノミクス支持率は低下。
(2)野党が経済政策、社会保障政策、貧困対策等をアピールできていない。
(3)憲法改正
 必要あり49%、なし44%(朝日出口調査)
安倍首相の下での憲法改正 賛成39.8%、反対50.0%(共同通信出口調査)

参院選、都知事選からみえる社会運動の課題
(1)深刻な貧困、社会的危機、社会保障解体政策を表面化し、政治的方向づけをおこなう運動の弱体
(2)アベノミクス批判、オルタナティブの経済政策・財政政策・政策的練り上げの不足

労働市場の底抜け状況
(1)非正規急増、男性正規の低処遇化、女性無業の減少
(2)正規、非正規をつらぬく<長時間=低処遇>化

貧困の広がりと深刻化
(1)生保基準による世帯人数別最低生活費平均額未満の可処分所得の世帯にいる人口 2070万人
(2)政府発表貧困率 16.1%×1億2700万人=2045万人(2012)
(3)生活保護基準未満世帯推計(2007年データ) 1157万世帯
(4)金融資産なしの割合の増加(貯蓄なしの増加)
(5)高齢者世帯 低所得・無貯蓄(+低貯蓄)世帯の増加

広く深い不満、怒り、絶望 ――届いていない運動
運動の影響力の範囲を超えて、TwitterなどSNSでの疑問、怒り、要求の爆発的な拡散

最賃1500円運動の大きな影響とその背景
(1)最賃1500円をめざす様々な運動の隆盛
(2)1500円の要求としてのリアリティ
(3)1000円は生活できるできる賃金か?
都市部の単身者生活保護基準未満。ましてミニマム・スタンダードには遠く届かない。
ナショナルセンター三団体は1000円。なぜ?
「家計補助」論の長期支配
(4)最低賃金の意味・位置の変化
「家計補助賃金の下限」から「労働者本人が暮らせる賃金の下限」へ転換開始
(5)なぜ1500円要求が広く支持されつつあるのか
非正規激増と低処遇正規の増加による、低賃金層の大幅増加

職種別(産業別、業種別)の最低賃金を基礎とする賃金、労使関係へ
企業を超えた同一労働同一賃金型の職種別最低賃金へ

働き続けられる産業、業界、企業を労働運動の力でつくる
(例)保育士
非正規保育士の時間単価の大幅増額 + 人員配置基準の大幅改善 + 保育士自身の子供が育てられる労働時間短縮と権利拡大
(例)労働運動によるエステ業界の変革
企業と労働組合の間でママ・パパ安心労働協約の締結

現在の労働組合運動の歴史的位置、歴史的課題を考える
(1)労働運動の長期停滞とその背景
企業別の本質的弱点を克服できず
日本型雇用の解体・縮小による歴史環境の変化
(2)年功型賃金と「家計補助」賃金の二重構造を前提した処遇の後退。市場原理主義による労働市場規制の解体。
(3)労働市場の「区分」ごとに労働市場を規制する
産業、業界、職種、地域など
(4)労働組合運動の必要性と力、魅力を、個別課題に即し、市民運動形式も使いながら、広く社会的キャンペーンを行う必要
(5)世帯主賃金を前提した脆弱な社会保障でなく、最低賃金+αでくらす人々を前提した社会保障制度へ

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